私の家では、毎年ひな祭りにちらし寿司を作る。えびの年もあれば、カニカマの年もある。
その年の家計の様子が、わりと正直に表れるのである。
チラシ寿司は、いわば我が家の「経済白書」である。
景気のいい年は、えびやカニ、サーモンが乗る。
酢飯の上に赤いえびが並ぶと、それだけでぐっとお祝いらしくなる。台所の空気まで、なんだか明るくなる気がする。
反対に、少し節約している年もある。そういうときは、きゅうりやカニカマが中心になる。
きゅうりはさっぱりしていて見た目もきれいだし、カニカマも赤いからそれなりに華やかではある。
けれど、どこか「がんばっている感じ」がするのも確かだ。
私は台所で具を並べながら、よく思う。
えびは好景気、カニカマは節約、きゅうりは地道なやりくり。
ただし、どんな年でも変わらないものが一つある。
卵である。
卵だけは欠かせない。
薄く焼いた卵を細く切ってちらすと、それだけで全体がぱっと明るくなる。
えびがなくても、サーモンがなくても、卵があると、なんとなくちゃんとしたちらし寿司に見える。
私はひそかに、卵こそがわが家の基幹産業だと思っている。なくてはならないものである。

