えびの年、カニカマの年①

私の家では、毎年ひな祭りにちらし寿司を作る。えびの年もあれば、カニカマの年もある。

その年の家計の様子が、わりと正直に表れるのである。

チラシ寿司は、いわば我が家の「経済白書」である。

景気のいい年は、えびやカニ、サーモンが乗る。
酢飯の上に赤いえびが並ぶと、それだけでぐっとお祝いらしくなる。台所の空気まで、なんだか明るくなる気がする。

反対に、少し節約している年もある。そういうときは、きゅうりやカニカマが中心になる。

きゅうりはさっぱりしていて見た目もきれいだし、カニカマも赤いからそれなりに華やかではある。

けれど、どこか「がんばっている感じ」がするのも確かだ。

私は台所で具を並べながら、よく思う。

えびは好景気、カニカマは節約、きゅうりは地道なやりくり。

ただし、どんな年でも変わらないものが一つある。

卵である。

卵だけは欠かせない。
薄く焼いた卵を細く切ってちらすと、それだけで全体がぱっと明るくなる。

えびがなくても、サーモンがなくても、卵があると、なんとなくちゃんとしたちらし寿司に見える。

私はひそかに、卵こそがわが家の基幹産業だと思っている。なくてはならないものである。

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